「子どもがクループ症候群にかかって保育園に行けなくなった」というお話をよく耳にします。感冒の流行する季節になると増えてくるクループ症候群ですが、そもそもどのような病気なのでしょうか? また、喘息とはどう違うのでしょうか?
1.クループ症候群とは
ウイルス感染が原因の呼吸器疾患で、主に気管の入り口辺りの喉頭気管部分が感冒等で腫れるなどの炎症が生じることで知られています。クループ症候群の発症原因には、ウイルス性、細菌性などが挙げられます。流行時期は、原因となる感染症の種類によって様々です。
秋冬に多く発症する場合は、空気が乾燥し、喉の粘膜が刺激されて炎症が起こりやすくなることが影響します。
インフルエンザウイルス
RSウイルス
ヒトメタニューモウイルス(hMPV)
COVID19ウイルス
パラインフルエンザウイルス
上記の呼吸器感染を起こすウイルスに感染する機会に、クループ症候群が引き起こされる場合があります。
2.症状
クループ症候群の主な症状として、
喉頭部の狭窄に伴う吸気性喘鳴
犬吠様咳嗽
嗄声
の3つが挙げられ、鼻炎、咽頭炎などの症状が先行して現れるのが一般的です。
とくに、「犬吠様咳嗽」と呼ばれる咳は、クループ症候群特有の症状であり、オットセイの鳴き声や犬の遠吠えのように聞こえます。
気道が異常に狭くなることで、「ケーンケーン」「ヒューヒュー」「バウバウ」といった咳音を発し、重症化すると呼吸が困難な状態となってしまいます。
また、幼児期は、保育園等の集団生活を始めた時でもあるため、感染を繰り返し起こしやすく、クループ症候群にかかりやすいです。
また、中耳炎や肺炎など合併症のリスクもあります。
急な発症で、犬吠様咳嗽が起こることが多く、大抵の場合、クループ症候群の症状のピークは3〜4日目であり、1週間ほどで徐々に改善していきます。
しかし、呼吸困難などの症状は夕方以降に悪化する傾向があるため、夜間の対応には注意が必要です。
特に高熱を伴う時は注意が必要です。
3.治療
クループ症候群の一般的な治療法は、鎮咳去痰剤や気管支拡張剤の内服、十分な水分補給と安静といった対症療法が基本です。
喉頭の腫れを抑えるためにエピネフリンの吸入やステロイドの内服の治療法があります。
症状が重い場合には入院を必要とする場合もあり、低酸素状態に対して酸素投与、脱水症状には輸液が行われます。
軽症の場合には、部屋の湿度を高く保った状態で安静にすることで症状の改善が期待できます。
家庭内では処方された薬を正しく服用し、静かで落ち着いた環境を作ることが大切です。
食事は咳が収まっている時に少しずつ与え、水分補給にも十分に注意しましょう。自宅でのケア
喉頭気管気管支炎は自宅でケアできることがたくさんあります。
軽症例では加湿だけで症状が改善することがあります。加湿器や洗濯物などで充分な加湿をしてください。大泣きをきっかけに症状が悪化することもありますので、できるだけ安静を保つ様に心がけてください。
喉頭はは咳刺激に対して敏感なところなので、ちょっとした刺激で咳き込んでしまいます。刺談にならないように冷たい空気や、臭いの強い空気を避けましょう。
寝かせるときは、肩枕(頭ではなく、肩の辺りに枕かタオルを敷く)をして、少し顎を挙げた姿勢にすると、楽になることがあります。
4.こんな時は要注意!
喉頭気管気管支炎は、日中には改善傾向となりますが、夜になると再度悪化するという特徴があります。以下の場合は、緊急を要する可能性があるのですぐに医療機関を受診しましょう。
・息を吸うときに喉の付け根や胸をへこませる呼吸(陥没呼吸)をしている
・顔色や唇の色が悪い
・水を飲み込めず、よだれが出ている
・息苦しくて横になっていることが出来ず、起き上がってしまう
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